中国による対米日開戦のボトムライン(「月刊中国」155号より)

范長龍、南京・広州軍区の2級戦備を発表

350万平方キロメートルあまりの南シナ海が絶え間なく波立っている。5月20日、アメリカの偵察機P8-Aが1機、中国が人工島を建設中の南シナ海の島唄や岩礁の上空を飛行し、それに対して中国海軍は8度にわたる警告をし、米中両国政府の非難合戦や行動はエスカレートしている。

5月20日の夜、中央政治局は緊急会議を召集したが、同会議は夜9時に始まって21日の午前2時40分に終わった。同会議では、まず蒲長龍から、このところのアメリカの軍艦・軍用機・軍事衛星による、南シナ海の島嘆や中国の領海海域や領空空域における活動や挑発の状況、および中国軍がおこなった自制的な警告に対するアメリカ側の反応についての報告があった。

また、会議に出席した国務委員で中央外事指導小組副組長の楊潔簾は、さきごろおこなわれた米中高官会議の情況について報告するとともに、アメリカが最近アジア太平洋地域でおこなっている外交的および軍事的活動は、中国の平和的台頭に狙いを定めこれを押さえ込むことを目的としている、などと述べた。

同会議では、「国内社会の各界は、アメリカと日本の軍事挑発行為に対してどのような反応をしているか、またアメリカと日本に関する中央の戦略政策に対してどのような態度を取っているか」「南シナ海周辺国家はどのような立場を取っているか」「中国の戦備の状況はどうなっているか」というような内容が討論された。

また同会議では、「米中間や日中間でひとたび戦争が始まった場合、局地戦争・大規模戦争・核兵器や生物化学兵器を使用する戦争の準備をどのようにおこなうのか」、といったような質問が出された。そして或る参会者から、「アメリカや日本による軍事的挑発や政治的包囲などの形式については、タイムリーに全党・全軍・全国民に通報するとともに、もしも中国側の説得にもかかわらずアメリカ軍が挑発を続けるならば、対抗措置の第一歩として、アメリカ駐在中国大使を召還し、アメリカの『シンクタンク』や『財団』の中国における活動を制限し、アメリカの国債を購入する資金を減らしそれを他所に振り向ける、などのことをおこなってはどうか」という提案がなされた。

 

習近平、妥協はしないと言明

習近平・張徳江・范長龍・呉勝利が基調講話をおこなった。習近平は次のように述べている。「長い間、安全で平和でゆとりのある社会を作り、我が国経済の総合的な実力の発展を促進し、人民に幸福をもたらし世界情勢を平和的に主導するために、我々は戦略の上でも国際関係の上でも、またいくつかの領域においても、たしかにアメリカの強権政治や軍事的覇権主義に対して忍耐・譲歩をし、そのため政治の上で代価を払ってきた。

しかし、中国が受容できる代価にもひっきょう限りがあり、しかもすでに忍耐・抑制の臨界点に来ていることをアメリカははっきりと知るべきだ。我々は、強権政治・軍事的覇権主義・世界各国の命運を主宰しようとたくらむアメリカの戦略に対して幻想を抱くようなことはしない。これまでもそうであったし、これからもそうだ。

我々はすでに、原則的な立場や揺るぎのない意志を世界に向けて宣言し、アメリカや日本の軍国主義復活勢力に対して警告を発している。

中国の領土や主権の保全・安全という核心的利益については、如何なる時期においても、如何なる情況においても、決して譲歩はなく、決して妥協はなく、決して取引はない。

我が国が最も困難で急迫していた時代はすでに過去のものとなり、侵略され・略奪され・虐げられていた時代は二度とやってはこなくなった。中国は必ず繁栄し復興するはずであり、我々は永久に覇権を唱えることもしないが、覇権主義が中国の命運を左右するようなことも永久に許しはしない。

中国人民は平和を熱愛し、平和を維持し、戦争に反対しているが、戦争の到来・戦争の挑発・戦争の脅威を恐れることは絶対にない。ひとたび反侵略戦争が始まれば、唯一の選択肢は、最大の代価や犠牲を払うことも覚悟して、侵略勢力を打ち破り、侵略国に打ち勝つことである」

 

軍事委員会、対米国開戦のボトムラインを発表

5月21日、中央軍事委員会が会議を召集し、政治局委員で中央軍事委員会常務副主席の范長龍が次のように発表した。

「このところ、南シナ海海域・南シナ海海域領空・我が国沿海海域・沿海領空がアメリカの海軍・空軍の意図的な挑発行為を受け、しかもその挑発的な軍事行動がエスカレートしている。我が方は何度も警告し、また我が関係部門の指導者がアメリカの指導者に対して上記したような事実および我が方の原則的立場を説明したにもかかわらず、アメリカ側は公然と軍事挑発を続けている」

そして、我が国の神聖な領土・領海・領空の主権と安全を守るためとして、「南京軍区の海軍・空軍・一線部隊、および広州軍区の海軍・空軍・一線部隊は、5月22日の12時をもって2級戦争戦備に入る」ということが決定された。

また范長龍は中央軍事委員会の名によって、次のように命令した。「海軍・空軍・戦略ミサイル部隊の指導グループのメンバーは、自ら戦争戦備工作組を率いて最前線に赴き、戦備の手配の検査・確認をするとともに、最前線にいる士官・兵士を慰問・激励せよ」

5月21日午後、軍事委員会拡大会議が召集され、消長龍は、中央政治局が審議し決定した対米日軍事戦闘のボトムラインを発表した。その内容は以下のとおり。

  1. アメリカ軍や日本軍が、国際水域・国際空域において、殺傷力のある武器により我が軍に先制攻撃を発動した場合。
  2. アメリカ軍や日本軍が、我が領海内・領空空域を侵犯し、警告した後も挑発を続けたときは、威嚇射撃によって再度警告するが、アメリカ軍・日本軍が発砲したり殺傷力のある武器を使用したりした場合。
  3. アメリカが日本を使って政治事件を画策・捏造し、我が国に対して軍事攻撃・軍事襲撃等を発動した場合。
  4. アメリカおよびその軍事集団が直接に、またはそれに教唆された第三国が、我が国の外国駐在機関に対する武力攻撃をし、死傷者が出た場合。

 

中国人民の安全を保障できるのは憲政民主主義

中国や中国人民にとっていちばん安全な保障は、憲政民主主義を実行することであり、普遍的価値の世界的潮流に順応することである。そうすれば、すべての対立は対話や協議によって解決でき、中国が世界から孤立することもなくなるだろう。

(「月刊中国」155号 2015年8月号)

 

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